DX潮流で問われる、これからの企業リテラシー

~時代の鍵は、AIへの意識改革~

DX格差が拡大する現代において 解決の糸口になるのは?

野口

 最近、ひしひしと感じられるのが、まさに今、日本産業界で起こっている“DX格差”です。

 もともとネット・デジタルネイティブの企業は、「データ×AI」をどんどん活用し、DX先行者になっているように思えます。

 一方で、そうではない非ネット・デジタルネイティブの企業は、DX推進においても後れを取っていて、そこに大きな格差が生まれてきていますよね。

松尾

 確かにそうですね。その格差が拡大した原因には、インターネットの技術とその企業文化が非常に深く関係していると思うんです。

 ウェブアプリなどによって、顧客との関係が大きく変わり、ユーザーのログを含めて様々なデータを取得することが容易になってきています。そして、そのデータを使ってPDCAを回し、仮説検証をしていく。

 そういうA/Bテストをして、どんどん良くしていくという手法が、ごく当たり前になってきましたよね。それを企業側が、きちんと理解しているかどうか、というのが大きな違いだと考えます。

野口

 私もずっとインターネットのアプリケーション周りでデータ分析なり、A/Bテストなりを繰り返してきましたので、そこにAIのアルゴリズムを入れてユーザーがどう反応を示すかという実験が当たり前にできているのは、ありがたいと感じています。

 ただ、その感覚がない企業が、DXについても後れをとっていってしまうのですね。

松尾

 実証こそ全て、という感覚がそもそも違うのです。

野口

 企業によっては、DXの成功に必要なPoC(実証実験)が、実験段階でストップしてしまい、本実装まで辿り着かないという話をよく耳にするのですが、とてももったいないなと思っています。

 むしろ、PoCの成功率から逆算して、PoCを10個なら10個一気にやってしまって、その中で打率を2~3割あげるという出口を得られるような実証実験設計を行えば良いのではないかと考えています。

松尾

 駄目なら駄目で、発見があればいいわけで。そこでまた仮説をかえればいいんですよね。結局は、最終的な目標に向かって進めばいいのですから。

野口

 目の前のDX推進だ、業務プロセス改善だという話で止まってしまうのではなく、ビジネスの最終的なゴールを見据え、事業自体のDXを行うこと、そのような地図の描き方をすることが重要といえますね。

 その意味では、中国の社会実装なんかはすごいですよね。北京とか上海とか、都市レベルのゴール設定による競争がすごいので、推進のスピードはすごく上がっていると思います。

 それに比べると日本はDXにおける勢いが足りないと感じていますが、日本の起死回生への道はどのあたりにあると思われますか?

松尾

 日本のDXの場合は、過去にシリコンバレーで起こったことをまとめている意味合いが強いと感じています。企業のどうしたいか、結局何がしたいのか、という目標が見えにくいんです。

 そこは中国に倣って、改善すべき点だと思っています。

 基本的には全てを自動化すること、デマンドとサプライがつながること、そして更にスピードアップして、パーソナライズ可能になることだと思うんです。ここで最終的に大切なのは、その顧客価値です。

 製造業では、「駄目なら直す」というリコールレートが問題になるため、そのサイクルで物作りをするという意識や文化がないのかもしれません。

野口

 そこはだいぶ感覚が違いますよね。

 とにかく作ってお客さんに当ててみるっていう意味でも中国はすごいですよね。間違えても大丈夫というか……。

 日本の企業は、日本人の気質のせいか、「間違ってはいけない」と思いがちなところがあります。それがAIの活用やチャレンジの難しさにも関わってくるところですね。