DXに向けて、まずは役員全員でG検定受験へ 会社を動かす本気のリーダーシップ

[G検定 合格者インタビューvol.1]ディープラーニング×トップダウンからのDXへの挑戦

今では、社員の約5人に1人が勉強会に参加

――G検定の受験の背景には、矢野社長の“大号令”があったということでした。この号令は、経営陣に対してなのか、もしくは現場の一般社員も含めた声掛けだったのでしょうか。

矢野

 DXをこれから取り組んでいこうにも、経営陣が部下に対して「DXを推進しろ」と言っても本気度が伝わりません。「先ず隗より始めよ」と、経営陣の本気度を見せるべく、まずは役員で受験しようということになりました。実際に受験をしてたまたまですが合格できたことで、11月の試験を受験したいという希望者が約50人も出てきています。

倉橋

 当社の社員数は約260人なので、5人に1人ぐらいの割合ですね。先日は、勉強会のキックオフがあり、昼休みに10数人ずつ集まりました。「こんなテスト対策がいいよ」「第4章でつまずいています」という情報交換や悩みを相談し合ったりしたほか、個別に勉強会を開いているグループもあります。

――G検定をサポートする社内体制はありますか。

矢野

 11月から、合格者の受験料の全額補助と、教材費の一部補助という形で固定額を支払う計画をしています。これにより、今後もう少し受験希望は増えてくるような気がしています。

――大手企業では、昇給のための資格ポイントとG検定を連動する会社もあります。そういった可能性はいかがでしょうか?

矢野

 昇給についてはまだ考えてはいません。ただ、「チャレンジをした」ことを評価してボーナスに何らかの形で反映するなど、エンゲージメントを上げる仕組みも考えています。

――コロナ禍で在宅勤務の時間が増え、学び直しをする人が増えています。社内でも、従業員の方々が学び直しに積極的になっているなという印象は感じますか。

矢野

 非常に感じています。G検定に限らず、サステナブル研修などに積極的に参加したり、新たに資格を取得しようとしたりする社員が増加しています。「今までとは違うことをやろう」という時間が生まれたというのは、ひとつコロナ禍による良い面かもしれません。

G検定を受験することで「経営者の本気度を社員に示す」

――トップがボトルネックになりDXがなかなか進まない他社のケースも散見されます。「デジタル嫌い」という経営層もまだまだ多い中で、お二人はもともとデジタルへのリテラシーは高かったのでしょうか。

矢野

 私は、ITリテラシーはさほど高くはないですが理系ということもあり、G検定の教科書をちらっと読んだとき、数字がたくさん書いてあるのを見て「得意な方かもしれないな」「簡単にできそうだな」とは思っていました。

 そういう意味では、リテラシーより課題感の方が強かったのかもしれません。野村グループ全体でDXに力を入れていく方針はありましたので、当社の業務にAIを活用することで、「『野村グループ全体でDXが進んでいる』ことをステークホルダーにしっかり伝えなくていけない」という問題意識は常に持っていました。

倉橋

 私は、同年代に比べれば、おそらくリテラシーはかなりある方かなと思っています。Windows95の時代から、電子掲示板でマクロの組み方を聞いてみたり、計量経済系のモデル分析でコンピューターを扱っていたりしたので、嫌いではありませんでした。

 私の入社当時は、パソコンは一部のマニアのものであり、当然、インターネットもなく、会社の机の上にパソコンはありませんでした。それが90年代後半から、ITリテラシーの高い人は自分で勝手にパソコンを持ち込んで仕事をし始めたんです。その後、情報管理の問題で会社からパソコンが支給されるようになりました。人工知能も同様に、会社が規定する前に、リテラシーの高い人たちが人工知能をツールとして使い始める時代が来るんじゃないかと思っています。

――G検定の取得後、社内の反響で特徴的に見えてきていることはありますか。

矢野

 G検定は「若い人や、リテラシーの高い人が受けるもの」と考えている人が多いと思うんです。そういった風潮に対して一石を投じたいという気持ちはありました。私のような「50過ぎのおっさんでも合格できた」ということをきっかけに、1人でも2人でもG検定に挑戦する人が増えていけばと思います。

――トップがG検定を受ける意義や重要性はどのような点でしょうか。

矢野

 大きくビジネスモデルを転換しようとしているとき、経営者の本気度を社員はよく見ています。そこで“やらされ感”が出ているとうまくいかないんですよね。DXについても、“やらされ感”で進めるのではなく、トップ自身がまずG検定などを受験することで「経営は本気だ」ということを見せる。そして、重要な案件はハンズオンで議論に参加して「この人本当にわかっているんだな」ということを思わせないと社員はついてきません。トップダウンで会社のカルチャーを変えるためには、まずは経営者が変わらないといけないと思います。

倉橋

 「率先垂範」という言葉で言ってしまうと簡単ですが、私が不合格になる可能性ももちろんあったわけです。自分が不合格になるリスクは取らずに、つまり、試験を受けずに、社員には「試験を受けろ」と掛け声だけ掛けるのではなく、「不合格のリスクを取って、敢えて挑戦した」という姿勢は、少なからず社員には伝わったと思っています。

 G検定にチャレンジしたいという仲間が50人以上集まってきていますが、それは私たちから命令を受けて集まっているわけではありません。「社長と倉橋が受かるんだったら、私たちもできるはずだ」「チャレンジしよう」といって集まっているメンバーばかりです。

 社員たちに「社長や倉橋がG検定って受けるんだって。どうせ落ちるよな」と思われながら、私たちが実際に合格したことで、社員たちの間で「私たちもできるはず」という輪が広がり、このようなダイナミズムに繋がっていったのではと分析しています。