学びのきっかけは、「いいモノを創りたい」「就労環境をよくしたい」。現場の一人の行動が周囲に共鳴し、DXへの原動力へ。

[G検定 合格者インタビューvol.2]ディープラーニング×ものづくりの現場からのDX

インタビュー vol.2
ダイハツ工業株式会社
太古 無限さん(東京LABO データサイエンスグループ グループ長/G検定2020#1合格・E資格2021#1合格)

 2021年3月、6,500人のスタッフ系従業員を対象に、今後AI人材育成研修を実施し、誰もが当たり前に活用できる状態を目指すと発表したダイハツ工業株式会社。同社でAI活用や人材育成が全社的に行われる陰には、社内で草の根活動を進めてきた立役者がいる。太古 無限(たいこ むげん)さんだ。

 太古さんは、AIに関心を持ち自発的に学習をスタート。G検定合格、E資格も取得。さらには徐々に周囲を巻き込みながら社内に学びの動きを広げ、今ではAI推進におけるキーパーソンに。なぜ彼はこのような活動を行い、そして周囲はなぜそこに呼応していったのだろうか。太古さんに、取り組みへの想いや狙いを伺った。

現場にいるからこそ見える、現場の困りごとをなくしたい

――太古さんは、今でこそダイハツの中でAI活用を大きく推進をされていますが、最初は独学でAIの勉強をするなど、小さくスタートされたそうですね?

太古

 2017年ころからAIやディープラーニングの勉強を始めました。

 当時はまだダイハツの中ではAI活用は全然進んでおらず、私は「このままではまずいのではないか」と、危機感を抱いていました。そこで、同じ部署内の仲間に声をかけ、業務とは別の取り組みとして、コードを書いて実験するという小さい取り組みを、まずスタートしました。

 その後、2020年に東京LABOという組織が立ち上がります。ダイハツは大阪に本社がある会社ですが、東京に優秀な人材を集めた技術部を作ろうと。その時に、「今後はAI活用が重要になるから、AI人材も一緒に採用して欲しい」と経営陣に掛け合いました。

 そして、AI人材が数人集まった段階で、データサイエンスグループを作ってもらうことができて。そうやって社内での働きかけを行ったりして、徐々にAI活用や人材育成の機運が高まっていきました。

――G検定やE資格を取得されたのは、そのころですね。

太古

 G検定は2020年春に受験、合格。続いて、2021年春に、より専門性が問われるE資格も取得しています。

 受験しようと思ったのは、グループを率いる中、最低限の知識を持つことでメンバーが安心してコミュニケーションをとれるようにしたいという思いと、自分のグループ組織以外でも学ぶきっかけ作りをしたいと考えていたからです。

――受験する人を社内で増やしていきたいと?

太古

 AI活用が一気に広がりを見せる中で、自動車業界としても100年に一度の大変革期を迎えています。当然ながらダイハツでもAI活用を推進していかなくてはなりません。

 工場でこれまで人が行っていた作業をAIに置き換えたり、打音検査のための音を聞き分けるシステムを開発したりと、徐々にAI活用事例も生まれています。

 ですが、開発過程ではAI知識やその共通言語が足りないために、コミュニケーションに時間を費やしすぎてしまったりと、知識不足による弊害を感じる場面も少なくありません。現場にいるからこそ、こうした現場での困りごとが見えている。それを少しでもなくしたいという気持ちからです。

開発をよりスムーズにするためには、マネジメント職のAI理解が必要不可欠

――具体的にどんな取り組みをされているのですか?

太古

 大きく2つの取り組みをしています。一つは自分が所属している開発部署に対して、AI学習の機会提供のため、E資格やG検定の受験者を増やすこと。もう一つは、組織以外にもそれを広めることです。

 一つめの自組織の取り組みは、マネジメント層に対してはG検定の受験を、開発実務者に対してはE資格の受験を推進しています。

 マネジメント職は、実際に手を動かすことはないにしても、実務者からの相談事項にスムーズに回答できたり、意思決定判断等をしていくためには、最低限の知識が必要になります。今は、それがないために、実務者に負担をかけていることがあるというのが、正直なところです。

 個人的にはマネジメント職の全員がG検定を取得し、その不を解消できるといいなと思っています。

――マネジメント職の方全員がAIの知識を持っていると、実務者もコミュニケーションがスムーズになって、開発が進めやすくなりそうですよね。

太古

 はい、そうなんです。とはいえ、一気に全員に取得してもらうのは、すごく難しい。

 ですので、取得の火付け役となっていただけるように、影響力のあるキーパーソンに、資格の取得は目的ではなく、あくまでAIを社会実装するために、どんな使い方ができるのかを学ぶきっかけにすることだという話とともに、「僕も受験するので、一緒に受験しませんか?」と誘って、一緒に受けていただくようにしました。

――受験することでのメリットをインフルエンサーとなって広めてもらうことを狙ったのですね?

太古

 おっしゃる通りです。その後、そのキーパーソンの方と一緒に、チャレンジ応援キャンペーンと称して、G検定の学習のための本や受験費用は会社が負担するようにして、マネジメント職が集まる会議で、G検定を受験したい人を募るなど、今、まさに仕掛けを行っています。

――マネジメント職のみなさんの反応はいかがでしたか?

太古

 「お、いいね。トライしてみる」という方もいましたが、当然、「日々の業務だって忙しいのに、難しい」という方もいました。

 でも、私としても一気に進むとは思っていなくて、徐々に徐々に取り組んでくれる方が増えていけばいいなと思っているので、積極的に受けてくださる方に合格していただけるよう、サポ―トしたいと思っています。