【人材育成 for DX】開催レポート #3「ダイハツから学ぶ、現場から始める全社におけるAI人材育成」

ゲスト:ダイハツ工業 太古 無限氏

AI人材育成の方針は「AIを使うことを目的としない」

「2019年には、『個々の学びだけではダイハツのAI活用は進まない』『AIを学ぶための気づきを与えたい』という思いから、全社AI研修の実施を人事に提案しました。現在はAI活用の重要性は浸透していますが、当時はあまり理解が進んでいない時期。毎週のように人事部の担当者とディスカッションを行い、熱い思いでもって粘り強く提案していきました。その後、2020年1月に全社AI研修体系の合意をし、同年12月にリリースしました。

 全社AI研修の体系は、最低限のAIリテラシーを全スタッフ職が学べるように構築しています。ダイハツにおけるAI人材育成の考え方は、課題を解決し、ビジネスインパクトを創出できる人材を育成すること。ポイントは『AIを使うことを目的としない』点です。そのため、全社研修ではPythonは教えていません。

 また、AIアイデアを相談してAI活用につなげる活動として、AIアイデア相談会やAI実装相談会を定期的に開催しています。相談会でのポイントは“無理にAIを使おうとしない”こと。業務プロセスを確認し、無駄排除、業務改廃、ルールベースで改善できないかを考えた上で、残った部分についてAI活用できないかを考えるよう導いています。さらに、AI活用事例共有会もオンラインで年2~3回実施。社内でこういった発表会をすることで興味を持つ人の輪が広がり、さらなるAI活用の加速につなげています」

学ぶきっかけ作りとして、G検定とE資格の取得を応援

「AIを学ぶ際の基本方針はアクティブラーニングです。インプットだけではなく、どうアウトプットするかがポイントです。AI実装事例を作りながら知識を養っていくような取り組みを進めています。

 部内AI研修では、学ぶきっかけを構築する体系を構築しています。ダイハツは理系の社員が多いので、学ぶきっかけさえあればあとは自ら学んでいく人も多い。つまり、どのように学ぶきっかけを作るかが大切になってきます。

 そのきっかけづくりとして、マネジメント職にはG検定、実務者はE資格の取得を応援するチャレンジキャンペーンを展開しています。例えば、部内のキーパーソンにG検定を受けてもらいます。『これは必要な知識だ』と実感してもらうことで理解者を増やし、さらにその重要性を発信してもらうことで受験者を増やしていく。

 G検定やE資格の受験は、資格取得が目的ではなく、あくまで学ぶきっかけ作りです。AI活用しやすい組織へと進展させていくためのステップであると捉えています」

会社職制外の団体を利用して楽しくPythonを学ぶ

「全社AI研修、部内AI研修のほかに、『ダイハツ技術研究会』もAI人材育成において大きな役割を担っています。『ダイハツ技術研究会』は、新しい知識の吸収と技術の向上を目指し、普段の業務後に自己研鑽の場として参加するもので、会社職制外の団体で業務外活動にあたります。

 2019年に私が『ダイハツ技術研究会』の幹事になったタイミングで、『機械学習研究会』を新設しました。そこで、『機械学習に興味ある人』を募集したところ、約100人も応募がありました。現在もモチベーション高く活動しています。

 全社AI研修ではPythonを教えない方針である一方、『機械学習研究会』ではPythonのプログラミング能力を養う機会を提供しています。1人で嫌々取り組むのではなく、グループで一緒に楽しくPythonを学習した方が成長しますし、そこから業務に応用していくことにもつながると考えています。

 以上のように、ダイハツのAI人材育成は現場起動で提案しながら実施しています。各社の文化や施策に応じた取り組みを進めていただければと思います」

 次ページより、質疑応答の模様をレポートします。