行政はAI活用のフロンティア 宝探しのイメージで組織内DXや市民サービス向上で新価値創造に取り組む

[G検定 合格者インタビューvol.7]ディープラーニング × 豊田市役所のDX加速

市役所が持つデータを武器に“新価値創造”目指す

――すでに豊田市で導入されているAIやディープラーニングの事例はありますか?また、今後の活用方法として具体的にイメージしていることは?

井上

 紙での申請の処理を効率的にデジタル化するために、2020年度からAI-OCRを導入しています。また、AI 議事録による議事録作成の業務効率化も行っています。

 ただ、AI-OCRも AI議事録も「今まで手でしていたものを機械にやってもらう」という業務改善の色合いが強い施策ばかりです。もちろんそれらも大事ですが、「今まで人ではこんなことは全くできなかったけど、AIにやらせたらできる」という新価値創造にも取り組んでいきたいです。

 それには、市役所が持っているデータがとても強みになる。どこまで使っていいかという議論はもちろんありますが、市役所はどういう人がどこに住んでいるかという基本的な住民データから、健康診断のデータ、税の情報など多種多様なデータを保有しています。こういった個人情報性の高いデータは、外部に委託して分析してもらうというのはハードルが高いため、ある程度は組織内でアイデアを考えていく必要があると思っています。

 また、福祉系の相談において民間企業と連携してAIを活用した相談体制の構築を進めています。これは、これまでに蓄積された相談データをAIが学習して、相談に対する適切な提案を職員・市民に提供できることを目指しています。

――「新価値創造」という視点で、具体的なお考えはありますか?

井上

 アイデアレベルではありますが、“後追い”が多い現在の市役所の業務を変えていきたいと思っています。

 例えば、税の滞納の場合、滞納してから督促し徴収しますが、もう少し早くアプローチできれば住民にとっても職員にとっても得になるのではないかと考えています。過去の滞納情報から「こういった人が滞納しそう」とわかれば、前もってアプローチして税金を納めてもらう。もしそれが可能になれば延滞金も少なくて済みますし、事務も少なくなります。

 また、福祉における生活が困窮されている方へのアプローチも、現状は「相談に来られたら対応する」という後追いがほとんどだと思います。そこを少しでも早くするために、人の手では難しいけれどもAIが得意な予測や判別を使うことで、“後追い”ではなく“前のめり”な対応がしていけるのではないかと思います。