行政はAI活用のフロンティア 宝探しのイメージで組織内DXや市民サービス向上で新価値創造に取り組む

[G検定 合格者インタビューvol.7]ディープラーニング × 豊田市役所のDX加速

行政のAI活用はまだ誰も答えを知らない“フロンティア”

――豊田市という組織内でDX推進に向け先進的に取り組まれている井上さんですが、逆風はなかったのでしょうか。

井上

 AI勉強会などを進める上での逆風はありませんが、IT技術など新しい技術を取り入れていくことについて抵抗感を感じている職員はいるかもしれません。新しい技術を導入しても、「そんな難しいことを覚えるより、今まで通り手作業でやった方がいいんじゃない?」と思われる方が少なからずいて、そういった人たちのITリテラシーをどのように上げて意識を変えていくかは課題です。

――G検定取得後、得た知識や知見を業務に生かしていくために、どのような考え方を持つべきだと思いますか?

井上

 日々の小さな困り事に対して、「この前学んだあれが使えるんじゃないか」ということをきちんと考えてアイデアを出したり実際に使ってみたりすることが重要だと思います。

 ただ、行政の分野ではAIはさほど普及していないので、「ここにこういうAIを使える」や「こういう事務が楽になるんじゃないか」という答えを誰かが教えてくれるわけではありません。なので、宝探しするイメージでいいんじゃないかなと思っています。

 「他の自治体の事例に倣って導入する」という場合も多いですが、それ以外のところにもまだまだ宝は埋まっているはず。そのような意味で、行政自体がフロンティアでまだまだ開拓できる領域です。「世間で私が一番最初に見つけてやるんだ!」というイメージを持って取り組んでいけたらいいなと思っています。

AIジェネラリストを増やし、未来志向の組織へ

――行政手続きの完全オンライン化をはじめ、DXに向けて行政機関の皆さんは危機感を持って取り組みを加速されていると思います。豊田市の1番の課題はどこにあると思いますか?

井上

 DXとはつまり“変革”なので、紙をデジタル化しただけでは不十分で、“文化を変える”ところまでいかに持っていくかが課題です。IT化・AI化によって生まれた空き時間を、もっと良いサービスを提供できるように使えるようにするなど、未来志向の意識を持つことが必要だと思います。

――最後に、豊田市のDX推進の未来と、井上さんご自身の展望について教えてください。

井上

 豊田市役所は、少しずつAIジェネラリストが増えてきています。さらに増やしていき、AIについての会話が普通になされるような状態していければと思っています。それは一足飛びにはいかず、オセロゼームのように地道に1個1個ひっくり返していくしかないですが、ある程度超えたら一気に「私もやる」「僕もやる」という逆転現象が起こるはずです。そのしきい値を超えていけるよう力を尽くしたいと思います。

 私自身に関しては、AIジェネラリストが増えアイデアも出てきたときに、組織内でサポートできるような人材になりたいと考えています。アイデアが出たときに、「外部業者の人に依頼しましょう」となってしまうと、予算を取らないといけない、そうなると来年度になる……となってしまうと、担当者の熱を下げてしまったり部署異動の可能性も出てきたりします。ある程度のことは組織内でサポートできる人材がいた方がいいと思うので、私自身がその役を担っていけたらと思っています。