“DX遅れ”と言われる製造業の変革を進めるには? リーダー・経営層にこそAIの体系的理解を

[G検定 合格者インタビューvol.10]ディープラーニング × 製造業のDX推進

インタビュー vol.10
株式会社O2 勝見 靖英さん
(取締役/G検定2019#1合格)

 製造業に特化したDX支援を行う株式会社O2(オーツ―)は、AIやIoTを取り入れた設計・生産のDX実装や、既存技術を応用した新規事業開発のコンサルティングを提供している。取締役の勝見 靖英(かつみ やすひで)さんは、2021年秋にコンサルタント全員にG検定の取得を呼びかけ、自身も合格。現在、コンサルタントの取得率は8割を超えている。

 技術職ではないコンサルタントの“全員”に、G検定の取得を呼びかけたのはなぜなのだろうか。そして、これまで勝見さんがO2で手掛けてきたDX支援から見えてきた、日本の製造業の“DX遅れ”を変革していくために必要なこととは何なのだろうか。

株式会社O2 取締役の勝見 靖英さん

社員にG検定取得を呼びかけたのは「一般常識として」

――製造業に特化したDX支援を行うO2さんは、AIをどのように事業に活用していますか?

勝見

 日本の製造業の強みでもある、ベテラン技術者や職人さんの技術やノウハウ。これらの “暗黙知”を、我々コンサルタントが可視化してデジタルに変換し、形式知化・構造化します。それにより、業務効率化やプロセス改革を実現したり、言語化されていなかったものを整理することで技術伝承につなげたり、また新しい事業を創出するご支援をしています。

 これらのアプローチの際に活用しているのが、AIをはじめとするデジタル技術です。以前は「AI」ということで特別視していた感覚もありましたが、現在はむしろ特別なものではなく、「使って当たり前の普通の技術」として活用しています。

――2021年秋からは、社内のコンサルタントの皆さんにG 検定取得を義務付け、勝見さんご自身も取得されています。その狙いやきっかけを教えてください。

勝見

 O2は、2016年にAI専門企業のLIGHTzを立ち上げたり、山形県の高校生にAIを教える「やまがたAI部」というプログラムに取り組んだりしています。他の事業会社さんに比べるとAIは近い存在だと思っていましたが、そういった取り組みに携わるメンバーは一部に限定されていました。

 O2のコンサルタントの約8割はメーカーなど事業会社のエンジニア出身で、ものづくりの技術に知見を持った者たちが多い組織です。AIは「常識的に使うもの」という意識は共通して持ってはいるものの、最前線でAIに触れているメンバー以外は、断片的な知識しかない状態でした。

 体系立てた知識をきちんと身につけて、必要なもの・そうでないものが分かったうえでお客様へコンサルティングをしていくことが重要だと思い、取得を呼びかけました。

――手挙げ制などではなく、“全員”に取得を呼びかけたのはなぜでしょうか?

勝見

 「一般常識」という認識だからでしょうか。

 コンサルタントの世界では、ロジカルシンキングやドキュメンテーション、ファシリテーションのスキルは“必須で身につけるべきもの”と言われています。しかし、「じゃあロジカルシンキングは全員が学ぶべきスキルではないのか?」という議論はありません。

 「自分は技術的にこの分野が得意だからロジカルに物事を考えなくていい」「自分はこの領域は他の人より秀でているから、ドキュメントをコンサルタントらしく作ることができなくてもいい」なんてことはなくて、これらのスキルはビジネスにおける一般常識。いわば“人前に行くときは洋服着て外に行くようなもの”です。

 製造業のDX支援をしている我々にとっては、AIやディープラーニングの知識もこれらのスキルと同様で、一般常識レベルで身に着けておくべきものだと考えています。もちろん、その認識はかねてから従業員には発信していましたが、体系的に整理できるものとしてG検定を活用しようと思いました。

――合格実績はいかがでしょうか?

勝見

 コンサルタントのメンバーが40人のうち、8割の約30人が合格しました。

 これほどまで高い合格率なのは、社内でつくった学習サークルの存在が大きいかもしれません。2021年秋に取得を周知するより以前から、受験対策チームというものをつくっていました。最初のメンバーは、仕事の稼働状況を見ながら6人を指名。すでにG検定に受かっているメンバーに学習計画を作ってもらうなどしてアドバイスを受けながら、週1回集まり勉強していました。やはり学習効果は高かったようで、この6人はほとんど一発で合格しました。

 そういった活動を横目で見ていると、僕もG検定を取りたくなってきたんですよね(笑)。学習サークルに入らず「俺も合格したよ」と言えたらちょっとかっこいいかなと思って、僕は独自で勉強していました(笑)。

 G検定取得を全員に呼びかけてからも、研修会のようなものはどんどん立ち上がりました。オンラインで教えている様子を動画で撮ったものがアーカイブとしてたくさん残っていて、それを参考にしているメンバーも多いです。

 合格者は口をそろえて「勉強して良かった」「面白かった」と言っているので、やはり身になる内容になっているのだと思います。僕も合格できたことで「勝見が取っているんだったら取ろうか」という雰囲気もあり、気がついたら放っておいてもみんなが自然と取得しようとしてくれています。

――現在でも、そのような自主的な学習サークルは続いているのですか?

勝見

 続いています。私も、取得したきりで勉強を続けていないとどんどん忘れていってしまってもったいないですからね。8割強のメンバーが合格できたので、現在は応用編として、Pythonが書けるような環境で研修を受けられる体制をつくっています。

 また、G検定合格者の中から希望者を募り、E資格のための教育プログラムも提供しています。E資格の内容はコンサルタントの仕事と必ずしも一致はしませんが、「さらにその先に行きたい!」という気持ちのメンバーも多く、さらに勉強を頑張ってくれているようです。