【人材育成 for DX】開催レポート #7「サントリーグループのデータ人財育成 ~現場社員の成果創出に向けた取り組み~」

ゲスト:サントリーホールディングス株式会社 吉川 和宏氏、サントリーシステムテクノロジー株式会社 長谷川 寿延氏

徹底的なマインド変革と実践まで落とし込む研修を提供

吉川

 本日は、「事業現場の社員がいかにデータの力を最大限に活用するか」というテーマでお話をします。ここで言う「事業現場社員」とは、営業部門やマーケット部門、生産部門などの事業現場の社員を指します。

吉川

 我々の考える「データ人財」とは、ビジネス現場でデータ活用サイクルを回すことができる人財と定義しています。そのデータ活用サイクルとは、まずは「分析で何したいのか?」「データで何をしたいのか?」という分析のゴール/ストーリー設計したうえで、設定した仮説の確かさ検証(データの分析)を行い、必要な対策を立案・実行して効果検証できる、というものです。

 サントリーでは、デジタル人材を育成するための要素として、「データ活用する上の心構え」「分析の幅を広げる武器」の2つを設定しています。

 まず「データ活用する上の心構え」についてご説明します。皆さん、こういった経験ありませんか? 使えるようになるデータが増えてきた結果、「使えそうなデータが溜まってきたよ」「じゃあ分析して成果出して」「とりあえずこれどう分析しようか」と、“とりあえず”データ分析に移ってしまう。

 データ活用の上で重要なことは「そもそも知りたいこと(目的)は何か」「何をどう見るか(仮説)」です。その目的と仮説がなければ、データ活用もデータ分析もできないと考えています。

 データ活用する上の心構えは、ゴール/ストーリー設計の大切さをもとに、実践に落とし込むためのコツを理解して、自身の業務で実践しものにすること。研修のポイントは、徹底的なマインド変革と実践まで落とし込むことです。

吉川

 研修は約2カ月間、実践まで一気通貫で実施します。座学研修前の事前学習では、統計入門と可視化入門といった前提の知識レベルを合わせるためのeラーニングを提供。本丸の座学研修では、データ活用のプロセスや仮説立案をインプットします。

 「具体的に何を知りたいのか(目的)」「何をどう見るのか(仮説)」の重要さを徹底的に問うことで、実践のためのマインドチェンジを行います。そして、研修して終わりではなく、目的・仮説を捉えた上でデータ活用のプロセスを回しているかを実務上で実践・確認します。受講者内での意見交換や講師からのフィードバックの機会も設けています。

 「研修で習ったけど、気がついたら業務が忙しくて忘れてしまった」ということを防ぎ、成果につなげる研修にするため、受講者は各事業のエグゼクティブ層から選抜し、かつチーム(リーダー/メンバーのペア)での参加を必須で行っています。

分析の幅を広げる武器として、“Excelプラスα”を作る

吉川

 続いて、デジタル人材を育成するための要素の2つ目である「分析の幅を広げるための武器」についてご説明します。

 データが溜まってきたものの、Excelで定点的なデータ整理しかしておらず「Excelでできることの限界がきている」という声が挙げられます。データ整理からデータ分析へ一歩踏み出すための武器として、まずはBI(Business Inteligence)ツールの研修から提供しています。

 BIの特徴を捉えて自身の業務で実践し、Excelでできていなかったプラスαにトライする研修を今まさに進めているところです。研修のポイントは、自身で手を動かすための自分ゴト化と、実践までの伴走支援まで行っていることです。

吉川

 研修は約1~3カ月間、実践まで一気通貫で実施します。

 まず、概要研修では可視化の重要性やツールの特徴を理解し、社内外の事例を知ります。続いての実務研修は、BIツールの基礎的な操作研修と、基礎的なスキル/知識を短期間で習得。実データを用いた演習により、理解を深めます。最後の業務実践で、自身の業務/テーマで実践を行い、受講者の自走化までを事務局や講師で伴走支援し、成功体験を掴んでもらいます。

 受講者については、先ほど「各部署のエクゼクティブ層を巻き込んでいる」とお話したように、ツールを使う研修でも各部署を巻き込んだ上での実施を心がけています。上長にしっかりと確認を取ったり、必要に応じて部署単位で研修を回したりして、研修を無駄にしないための工夫を意識的に行っています。

 本日お話した内容は、既に業務でデータ活用を意識的に行っている社員に対し、より成果に繋げるための要素として取り組みを行っていることです。これらの研修で育った社員をさらに上級へのステップアップや、逆に、現状データをあまり業務で活用できていない社員を入門編に引き上げるための取り組みも別途検討中しているところです。

※次ページより、質疑応答の模様をレポートします。