【ディープラーニング×ビジネス】#7 国立国会図書館のNDLOCRを支えた技術

ディープラーニング 活用事例紹介 #7[株式会社モルフォAIソリューションズ]

画像認識技術を活用したスマートシティ事業

――スマートシティ事業について詳しく教えてください。

神田

 スマートシティ事業では、当社が強みを持つ画像認識技術をベースとし、群衆カウントや見守り、駅の安全管理や交通量計測などのセキュリティカメラをAIによってスマート化するソリューションを提供しています。

出典:モルフォAIソリューションズ社プレスリリース

神田

 直近ではドトールコーヒーショップ様の事例をプレスリリースとして出させていただきました。ドトールコーヒーショップ高知帯屋町店にて店内の混雑状況を計測し、店舗外からも視認できるサイネージに混雑状況を表示しています。

 こちらの店舗は3階建てですが、2、3階が空いているにも関わらず1階が混雑しているとお客様が入店しにくいという課題がありました。混雑状況をサイネージで表示し、お客様が1階から3階のフロアの混雑状況を事前に確認できることで、スムーズに空いている席へご案内することが可能になりました。

 見守りAIソリューションでは、白杖や車椅子、転倒状態などを検知してアラートを出すシステムが、すでに国内のスマートシティなどで導入されています。駅の安全管理にも導入されており、駅のホームで黄色い点字ブロックの外側に人が立ち入った際、駅の管理システムと連携して黄色い線の内側に下がるようにアナウンスされます。

出典:モルフォAIソリューションズ社HP

栗原

 こちらの導入の決め手は推論処理速度でした。検知してからアナウンスを出すまではわずか1秒ほどで、他社サービスでは5秒から6秒ほどかかっていました。

 特に緊急を要する見守りAIについて言えることですが、AIの社会実装においては、検知してからアラートを出す速度が重要になることがあります。当社ではこのようなシーンでも実用に耐えうる高速で高精度なモデルの開発を日々行なっています。

 また、計算リソースの限られたエッジデバイスやAIチップを搭載したデバイス上にモデルを実装する場合、量子化などを使ってモデルを最適化したり、AIチップで対応されている処理のみでモデルを構成したりする必要がありますが、精度をキープしつつ速度を出すことができるAIモデルの選定を行い、デバイスに合わせたカスタマイズを要するところが、開発する立場として苦労するポイントです。

 もちろん、近年デバイスの計算能力は上がり続けているため、最近はようやく精度が良いAIモデルをAIチップ上で動かせるようになってきました。

 GPUを使用すると予算が膨らみますし、電力消費も激しいために嫌うお客様もいらっしゃいます。当社としては、エッジデバイスでもGPUでもさまざまなケースに対応し、お客様の幅広いご要望に応えていければと考えています。

デジタル化されていない資料はまだまだ山のようにある

――御社の今後の展望について教えてください。

神田

 まず、スマートシティ事業においては、より幅広い業種業態のお客様に使っていただけるよう、他業種に展開していきたいですね。

 最近では警備会社がエンドユーザーになることも多く、安全な社会を実現する鍵になる業界でありながら、業界としては高齢化が進み人件費が高騰しています。そこにAIを提供することで業務が効率化できれば、大きな社会的意義があると考えています。

 その中で、ディープラーニングは間違いなく鍵になる技術であり、当社では今後もフル活用していくでしょう。

 デジタルアーカイブ事業においても、まだまだ日本にはデジタル化されていない資料が文字通り山のように存在します。

 日本の良さを海外に伝えるといった取り組みでも、まだデジタル化されておらず、眠っているコンテンツを掘り起こすことができれば新たな可能性が広がります。

 デジタルアーカイブの取り組みは、現在は国主導で進んでいますが、そこに我々のようなテクノロジー企業が参画することで、さらに加速させることができると考えています。