【ディープラーニング×ビジネス】#9 電通が取り組むAIを活用した視聴率予測と広告枠の最適化

ディープラーニング 活用事例紹介 #9[株式会社電通]

広告枠を組み換え効果を最大化する「RICH FLOW」

――「RICH FLOW」というツールの併用で、広告効果をより高めることができると聞きました。

荒川

 「RICH FLOW」は、各広告主が発注したテレビスポット広告枠の中で、広告主それぞれのニーズを汲み取った組み換えパターンを導き出し、キャンペーン全体の広告効果を高めることができるソリューションです。

 スポット取引の広告枠は、クライアントごとに人手で枠を選定して販売しています。そのため、これまでは枠の組み換えをリクエストいただいても条件に沿って枠の選定をやり直さなければならず、枠在庫に余裕があった場合のみ対応が可能、という状況でした。それぞれの広告主で、キャンペーン期間も放送していい時間帯も異なるため、人力で組み替えを行うと作業量が膨大になってしまっていたのです。

 こちらの図は、アイスメーカーさんと行ったトライアル事例のイメージ図です。

出典:電通プレスリリース

荒川

 アイスメーカーのA社ではより暑い日に広告を流したいというニーズがあり、化粧品会社のB社はF1層(20~34歳の女性を表す区分)に広告をリーチさせたいというニーズがありました。そこで、RICH FLOWを活用して枠の組み換えを行いました。その結果、A社、B社それぞれの広告効果アップに寄与することができました。

 一方で、こうした広告枠の最適化は、数100の広告枠に対して各広告主の時間帯や視聴者層の希望なども加味するため、計算量が非常に膨大になります。今は5社程度の組換えであれば5分以下で行えますが、数10キャンペーンの組換えを行うと計算時間だけで数時間ほどかかってしまいます。

 そこで量子アニーリング技術を活用するための検討を開始しました。量子アニーリングを活用することで、膨大な計算量を伴う最適化問題を、圧倒的に高速・高効率で計算できる可能性があり、広告枠の組み換えが多ければ多いほど各キャンペーンの広告効果向上が見込めます。

 このように、SHARESTを活用した視聴率の「未来予測」とRICH FLOWによる広告枠の「最適組み換え」の組み合わせが、これからの運用型マスメディアの根幹を担う技術であり、有限である広告枠の価値をトータルで上げていくことにつながると信じています。